食べることは生きること、生涯楽しくおいしく食事ができるように子どもたちを育てていきたい。
おひさま保育室で過ごす乳児期は、食べる機能を培う大切な時期で、毎日の食事は食べることを学ぶ大切な時間です。だからこそ、おひさま保育室では毎日の食事の時間を大切に考えています。
食べ物を食べる一連の動作・行為は
① お腹がすいて食べる意欲が沸く
② 椅子に座って姿勢を保つ
③ 食べ物を認識する
④ 手や食具を操作して食べ物を口に運ぶ
⑤ 食べ物を咀嚼して味わい飲み込む
ことができる力が必要です。すなわち、食べ物を食べるためには、①③食べたいと思ったり食べ物を理解する力、知的・精神発達と、②④⑤姿勢を保ったり手を使ったり口を動かしたりする力、運動機能の発達が必要です。また、知的・精神発達と運動機能の発達には、空腹を感じたり、食べ物の熱さ冷たさを感じたり、香りやおいしさを感じたりする感覚機能の発達も含まれます。つまり、食べる力は子どもの成長発達の集大成とも言えます。
人間は生まれてから反射で乳汁を飲むことができますが、食べる力は学ぶことで獲得していきます。それが離乳食です。離乳食は食形態を変化させて舌の使い方を学び、正しい食事介助の方法で口唇と顎の使い方を学びます。近年、食べる力の基礎を学ぶ離乳食期を、家庭で過ごす子どもが増えています。離乳食期を過ぎてから食べることに課題を抱える子どもは、この離乳食の時期の成長発達の中で、何らかの経験をしていない、又は経験が不足していることがほとんどです。離乳食期の子どもには食べる機能を上手に学ぶ保育を、離乳食きを過ぎても、生活全体を通して食べる機能の基礎の力をつけ、器用さや力強さを学ぶ保育をしていきたいと思っています。
おひさま保育室では保育の中心である保育士が、生活の中で子どもたちの心と体の発達を促すだけでなく、小児科医、保健師、心理士、音楽療法士、作業療法士、造形の先生と、様々な職種が専門的な視点で子どもたちの発達を見守っています。管理栄養士は、子どもたちへの様々な視点をまとめ、おひさま保育室での食事の時間を作っていきたいと思っています。

★自己紹介とおひさま保育室とのつながり
行山真知子
管理栄養士にぎにぎ
発達サポート食アドバイザー
小児栄養分野管理栄養士

管理栄養士にぎにぎこと、行山真知子です。小さい頃は食べることが大好きで、小学校の給食が全国で表彰されるくらいおいしくて、毎日おかわりしていました。その頃はまだ、栄養士という職業はマイナーで食育という言葉はありませんでしたが、栄養士さんと呼ばれている先生と「給食」を作る仕事にとても興味を持っていました。高校卒業時の進路を考えた時、就職氷河期と呼ばれる時代だったこともあり、手に職をつけようと栄養士の資格が取れる大学を選択しました。
その後めでたく栄養士となり、縁あって障がいや発達に課題がある子どもたちの通園施設で給食業務を長年していました。そこで関わる子どもたちは皆、色々な意味で「食べる」ことに課題がありました。子どもたちと向き合う中で、「食べる」ことは子どもの成長発達そのものだということに気付き、「食べない」「食べられない」ことは食事の時間だけでは解決できないと思い、給食業務に縛られずフリーランスになろうと今に至っています。また、「食べない」「食べられない」という課題を抱えるお子さんのママたちは、毎日の食事に日々悩んでいます。ママや子どもたちが楽しくおいしく食事できるよう、幅広い知識で支援していきたいと思っています。
近年、インクルーシブ教育・保育という考えが広まり、保育園に障がいや医療的ケアのあるお子さんが通えるようになっています。おひさま保育室は以前から積極的に受け入れを行っており、特性や課題があってもなくても皆が一緒におひさま保育室で生活し成長しています。そのためには、保育者に専門的な知識が必要です。前述した通り、おひさま保育室には色々な分野の専門職が関わっていて、私もその一人です。専門分野からの意見を保育士がまとめ、あーでもないこーでもない、じゃあこうしてみよう!やってみたらこんなにいい姿が見られたよ!その様な雰囲気のおひさま保育室だからこそ、これだけの専門職が自然と集まってきて、そのつながりはまだまだ広がっているそうです。私もおひさま保育室で子どもたちと一緒に、まだまだ成長発達していきたいと思っています。